股関節の発育形成不全について
整体での視点
股関節の発育形成不全とは幼少期に股関節の受け皿の部分が上手く形作られず、浅くなったり、しっかりとはまらない状態のことを言います。
昔は歩き始めの時に発見されていましたが、現在では乳児期の段階で、レントゲンやエコーで直ぐに見つけられるようになりました。
特徴としては開排制限(股関節の複合運動、膝を曲げた状態で開脚するなどの動き)や脱臼感などがみられる場合です。明らかに左右での違いがみられる場合です。整体の仕事をしていると、時々産後のお母さんから聞かれることがあります。病院で精密検査を受けるなら、このような特徴が見られたらでいいと思います。
昔は先天性股関節脱臼と言われ、2%程度の発生率だったのですが、現在では先天性ではなく、生後の育児習慣などで発生することがわかってきました。
そのため昔と比べると発生率は格段に下がっています。
成人で股関節の脱臼が発生した場合は、股関節痛や短下肢(左右の脚の長さが違う)・跛行(脚を引きずるように歩く)がみられます。また、画像検査で直ぐに判断できます。整体を受けに来られる前に画像ではっきりとさせておいた方が良いでしょう。
乳児で発生した場合は放っておくと充分に骨が形成されていない為、触診やレントゲンやエコーなどで診断を行います。
整体からみる変形性股関節症のリスク
年齢を重ねた時に変形性股関節症になってしまう人の大半が若いときの臼蓋形成不全が原因であると言われています。
先天性もしくは乳児期に脱臼などを経験し、その後適切な処置をせずに成長期を迎え、そのまま成人すると股関節の受け皿が上手く形作られずに浅いままになってしまいます。
そうすると、加齢とともに股関節の骨の形が変化したときに、痛みを引き起こします。
整体をするにあたって
整体をするときはまず、発育形成不全があるのかどうかをはっきりとさせることです。特に乳幼児の場合は初期の段階で適切な処置を施すことが重要です。整体云々の前に画像検査ではっきりさせる方が良いです。そして、整復するのであれば本当に慎重に行う必要があります。ぴったりと戻さないとこれも形成不全の原因になります。今はエコーで確認しながら戻すことができますのでそういった設備がある病院で確実に戻してください。極まれに整復できますか?と聞かれますが、整体や整骨院で闇雲に戻すよりはしっかり設備の整った病院の方が良いでしょう。
乳児の場合は生後4か月の段階で検診を行うはずですので、早期発見・早期処置を行えばその後の発育でそれほど大きな問題にならずに骨が形作られるかもしれません。
問題は、成人後に発育形成が分かった場合です。
そういったときは、分かった段階でしっかりと股関節のケアを含めた整体をする事が重要です。過度な負荷をかけ過ぎないようにしたり、荷重が掛かり過ぎないように体重コントロールをすることも大切です。
また、日ごろから可動域を保つ動的ストレッチを行うことも必要です。そして、食事等の栄養面にも出来る限り気を付けた方が良いです。
特に女性の場合は、閉経後に急激に女性ホルモンが減少し、骨が脆くなってしまいます。若いときには気づきにくいかもしれませんが、我々のような整体を含めて早めにケアをしておいて損はしないと思います。