変形性股関節症
変形性股関節症とは、加齢などにより股関節の軟骨が変性し、炎症が起きることにより痛みが生じる疾患です。
通常、股関節はがっちりと臼の部分にはまっており、その周りを靭帯や筋肉で覆われています。
体重を支え、重さを分散させるための構造になっているのですが、加齢やオーバーユース(使い過ぎ)、脱臼や亜脱臼、あるいは体重の増加、その他の外傷などにより体重の分散が上手くできなくなります。
そうすると関節の軟骨部分に負担が集中し、炎症が起きてしまいます。
更に、負担が集中することによって摩擦が増え、軟骨がすり減ってしまいす。
主な症状としては
-
脚の付け根の痛み。
-
初期の段階では立ち上がる瞬間や歩き始めに痛みを感じます。
-
更に症状が進行すると寝ているときも痛くて目が覚めてしまう夜間痛や持続痛にもなります。
-
しゃがむ動作や長時間の歩行や立ちっぱなしの状態が続くと痛みが強くなります。
症状が出やすいのは女性です。
先ほどがっちりはまっているのに脱臼や亜脱臼が原因と書きましたが、乳幼児の頃、関節が上手く作られていない時に脱臼を経験してしまうと、形成不全を起こしてしまうことがあります。これは整体を行う前に問診の時にお聞きします。
その後遺症として、加齢とともに発症することがあります。
また、関節の炎症が起き、痛みが出るため関節リウマチと間違えられやすいですので鑑別が必要です。
どのように施術を行うのか
整体をするときは、夜間痛の有無やどのようなときに痛みが強くなるのか、動かせる範囲はどの程度であるのかを最初に見極める必要があります。整体をするうえでどの程度まで動かすことができるかによって微妙に整体の方法が変わるからです。
出来れば、整体に来る前にレントゲンで自身の股関節がどのような状態であるのかを把握されていることが望ましいです。
というのも、摩耗が酷く、痛みも強い状態で炎症が起きている場合はあまり動きを加えない方が良い場合もあります。
基本的な考えとして自然治癒力、つまり自分自身の持っている力で治していくのが目的ではありますが、疾患の進行度合いによっては限度があります。
これは変形性股関節症だけに限った話ではありませんが、進行度合いによっては手術を行い、人工関節にした方が良い場合もあります。
ただ、手術をするほど進行はしていない。けれども股関節の変形が始まっているというのであれば、整体を行う余地はあると思います。
まずは、股関節に負担のかかりにくい身体にしていく事を優先して整体をおこないます。股関節の左右のバランスや立位での体重のかかり方、歩行の時の姿勢や動き方、当然筋肉の使い方や力の入り方、上手く使えているのか、柔軟性はどのくらいあるのか、等々診なければいけないことは沢山あります。
これらを一つ一つ、改善してくことが出来れば、股関節にかかる負担を軽減させ、摩擦を減らすことが出来るかもしれません。
その上で、日常生活の中で動かせる範囲を少しずつ広げていくことを目指します。
ただし、痛みが出ないという前提がありますので、我慢してまで範囲を広げる必要はありません。